故山田太一の一周忌を記念し、昨年末からBS-TBSで再放送された。
全15回のシリーズドラマ、年を跨いで完結した。

僕が中学生の頃からかな、始まった地上波TBSの夜10時台、
「木下恵介・人間の歌シリーズ」の第12作目。
放送開始は、僕が進学上京した昭和48年。
下宿アパートで、毎週熱心に見ていました。
♪~肌の日焼けが薄れていくように 激しい夏が遠くなる
いまは秋 風が二人を散りぢりにして 僕らの恋を想い出にする
それぞれの秋 それぞれの窓 それぞれの空 それぞれの愛~
ああ、この主題歌は、学生運動の、フラワーレボリューションの、
終焉を込めた、僕らの時代をうたったのだなと。
それだけで、ぐっと来てしまった。その後発表された、
『岸辺のアルバム』よりも、『想い出づくり』よりも、
『ふぞろいの林檎たち』よりも、僕は、共感を覚えた。
山田太一の、出世作にして、最高傑作だと、今も思う。
ディスカッションドラマ、なのである。ヌーヴェルヴァーグ、なのである。
主演かつドラマの語り部である小倉一郎が、カメラ目線で、
視聴者である僕に、語りかけるのだ。で、それが、山田太一の出自である、
松竹大船伝統のホームドラマって、スッゲー。
政治や社会をテーマにしてんじゃない、家庭問題をテーマとして、
登場人物たちが、ディスカッションするんだよ。テレビドラマで。
面白いよなあ。形式的にもそうだが、ディスカッションの中身が、
頗る辛い鋭い。お茶の間に届けるホームドラマの則を超えている。
そうしたドラマを、当時、僕らは、日本国民は、視聴していたのだ。
それからしばらくし、日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と、謳われた。
大丈夫だろうか、日本は。山田太一ドラマは、
平成以降、見向きされなくなって行った。