NHK-BSで放送されてたと思う。
「詩のボクシング」は、放送されるたびに視聴していたのだが。
今回再放送された、ねじめ正一VS谷川俊太郎の、
「詩のボクシング」は、未見だった。
僕が視聴していたのは、地方予選を勝ち抜いた、
無名の詩人たちによる、全国大会決勝の模様だった。
それに先立つ番組だったのだろう。とまれ、
僕が今年見たテレビ番組で、最高に面白かった。
蝶のように舞い蜂のように刺す、
華麗な谷川俊太郎の詩のボクシングスタイルに対し、
がむしゃらに言の葉の暴力を振るう、ねじめ正一。
スタイルの違う両者の激突に、僕は、あしたのジョー、
力石徹VS矢吹丈の血戦を、想起してしまった。
ちなみに、僕の採点は、92対92のイーブン、ドロー。
ゲスト出演の高橋源一郎は、
谷川俊太郎のTKO勝ちとジャッジしていたが。
なるほど、言葉選びの洗練さ、完成度に於いて、
一日どころではない長があったのは、
文芸に関心のある向きには、誰しもが認めるところだろう。
だが、僕は、ねじめ正一の、洗練とはほど遠い、
切羽詰まった言の葉に、より詩魂を、感じたりもしたのだ。
いやー、好いもの見せて、もらいました。
番組の最後、故人と深い親交があったという高橋源一郎が、
最も好きな谷川俊太郎の詩として「かなしみ」を紹介していた。
あの青い空の波の音が聞えるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった
僕の処女作「木枯し」は、これと通底してんじゃん、と思ったのは、
度し難い、僕のつけあがった思いであろうか。
お忘れ物のないようにと 車掌が
ぼくは慌てて あたりを見まわす
忘れ物などないのです ですが
何かしらどこかへ 忘れてきたような
