同好の士と、しみじみ語り合いたい番組である。
車窓からの景色を眺めながら、
缶ビールの蓋を開け、喉を潤す。
駅弁を平らげ、ポン酒に移る。
生まれて来てよかった、大袈裟な感嘆に浸る。
旅は、好いなあ。酒は、美味いなあ。
自分にもある、いつかの体験を、思い起こさせてくれる、
番組である。俳優六角精児が、ローカル線を旅しながら、
地元の酒に舌鼓を打つ、夢のような番組である。
ナレーションは、アダルト女優の壇蜜である。
「好きな俳優は六角精児」と、スーパーインポーズされる。
好い女だなあ。六角精児って、ブ男ですよ。それが、好いって、
人間を、観察してるんだなあ。
然り、この番組の魅力は、ナビゲーターである六角精児の、
キャラクターに、尽きる。飾らないのである。
飾らないことを飾るキャラなど、掃いて捨てるほどあるが、
六角精児は、本当に、飾らない。無防備である。
それで番組が成立するのか、観ている側が心配するほどだ。
そうした慣れきった旅番組、レポーター番組とは、
隔絶している。観ていて、とてもスリリングなの。
切々たる旅情があり、啄木の歌が胸を過ったりもする。
真夜中の
倶知安驛に下りゆきし
女の鬢の古き痍あと
番組中、シンガーソングライターでもある、
六角精児の自作曲が掛かる。これがまた、好いんだ。
高田渡風のフォークソングなのだが、
高田渡よりも、ずっと好い。僕の耳は、そう捉える。
高田渡は、飾らないことを飾っていたが、繰り返す、
六角精児は、本当に、飾らない。無防備なのである。
しみじみって、こういうのだろう。