北朝鮮の脅威を失くすためには、どうすればいいの。
本作が、教えてくれる。エンタメ映画の王道をゆく、
本作が、である。
そもそも、なぜ北朝鮮が脅威をふりまくのか。今もまだ、
朝鮮戦争が、終わってはいないからだ。終わらせようぜ、
戦争は不幸だ。戦争ほど、不幸なものはないじゃないか。
映画「ハナ 奇跡の46日間」が教えてくれるのは、その真実。
ちなみに、ハナとは、ハングル語で「一つ」を意味する。
先日、日本映画専門チャンネルでオンエアされ、鑑賞したのです。
ベルリンの壁が崩壊し、朝鮮半島にも統一の気運が高まった1991年、
日本の千葉幕張で開催された、世界卓球選手権における女子団体戦で、
韓国北朝鮮統一チームが金メダルに輝いた実話を基にした、
お茶目な青春スポ根ドラマにして、痛切な政治映画である。

もうはじめっから笑いっぱなし、それが怒濤の終盤では、
涙涙の波状攻撃である。観終わって、とても清々しい。
自分が、少しばかりいい人になれたような気さえする。
差別意識まる出しで韓国を嫌悪し、北朝鮮の脅威を煽るだけ、
安倍総理とその後ろ盾の連中には、到底理解できないだろう。
朝鮮戦争を終戦に導く、その努力は、日本の外交課題である。
南北朝鮮分断はあまりに不幸であり、その遠因は、
日本の韓国併合にあるのだから。そんなね、
殊勝な気持ちにさせられる、立派な映画だ。
韓国映画フリークの劇作家、山崎哲氏も大絶賛を惜しまない。
氏は、北朝鮮選手を演じた主演女優を、
韓国選手を演じた主演女優よりも一枚上手と評するが、
僕は、互角と評したい。
ペ・ドゥナの陰影あるヘビーな演技は、
北朝鮮の政治文化の顕現であり、
ハ・ジウォンの演技のストレートな明るさは、
韓国の政治文化の顕現であると思うからだ。
もちろん、助演女優賞は、ハン・イェリで決まりだ。
対中国との決勝戦、絶体絶命のピンチに追い込まれたシーンで、
渾身のサーブを放つ彼女をクローズアップで捉えたショットは、
息を呑むほど美しい。花の顔、どんな美人女優よりも美しいのだ。
これが、演技の力、演出の力、映画の力だ。
きけば、監督の処女作だという。信じられません。
処女作で、これほどの完成度を備え、深い感動を与えてくれるとは。
思うに、この映画に参加したスタッフ・キャストの「志」なのだろう。
本作の製作公開は、2012年。
北朝鮮の脅威がやまず、分断が深まるのを悲しみ、
同じ祖先を持つ、同じ民族、一つになろうよ、
ほんの20年前「小さな統一」ができたじゃないか、
できないはずないじゃないかと、健気にも、
映画の力で、問いかけるのである。熱涙が、やまない。