かつて日本は、かつてたって、遠い昔のことではない、
つい昨日のことだ。一億総中流と喧伝されていた。
社会主義の理想は、西側の日本に於いて達成されたと、
僕の記憶に間違いがなければ、レーニンの悪しき遺産である
ソ連邦のノーメンクラトゥーラが発言したはずだ。
なぜ、かかる理想が達成されたのか?はい、解る人って、
誰だって解りますよね。設問の中に答えが出ている。
社会主義というものが、資本主義の「外部」、
カウンターとして、確かに存在していたからだ。
そこで、西側の「システム」は、どうしたか?
社会主義のいいとこ取りをした。なんて頭がいいんでしょ、融通無碍。
白井聡言うところの「不純な資本主義」である
修正資本主義を採用した。社会主義は、なすすべなく完敗を喫した。
で、世界は、どうなったか?
西側の「システム」は、目障りな「外部」を持たなくなり、
不純な資本主義は用済み、純然たる資本主義に立ち戻った。
日本に於いても、然り。一億総中流は夢幻と潰え、
少数の富裕層に対する圧倒的多数の貧困層という
レーニンが革命を訴えた、そんな時代が、再来したのですね。
奇跡のような「蟹工船」ブームは、必然的現象だった。
で、どうしたら、いい?
今一度、「外部」を作り出すことだと、白井聡は訴える。
身悶えするような渾身の言説で以て、訴える。
それが、映画「グッバイ、レーニン!」から説き起こされる
初の著書「未完のレーニン」だ。
今こそ、国家と革命。レーニンを召還しなくてはならない。
それは、灰の中からダイヤモンドを掘り出す営為だ。
若き政治思想家の清新にして鮮烈な訴えが、胸に突き刺さる。
♪〜おお 今も昔も変わらないはずなのに なぜこんなに遠い
ホントのことを言ってください これが僕らの道なのか〜