今はもう、まったく見向きもされなくなっているが。
なんせ世間を覆う価値観は、「金持ち父さん、貧乏父さん」てなものばかり。
僕が十九二十歳の頃は、実存主義がいちばんイケてる思想だった。
イケてるものに乗るのは、青春の常態だ。若気の至りってやつだ。
で、それでずっと、やって来た。自由の刑に処せられちまったのだから、
文句は言えない。半分強がりである。まあ、このォ
どこまで強がってみせるかが、実存主義の踏み絵である。
いやー、結構シンドイ。
もし、あなたが、自由の刑に処せられるのはごめんだ。
人生の価値は、主体性の濃淡にあらず、社会的評価の得失にありと
考えるならば、実存とは無縁の存在であり、ある意味、
シアワセでもあろう。「金持ち父さん」を目指すがよい。
しかし、もし、あなたが、自前の人生が社会的評価で計られてたまるか。
人間到る処青山在り、俺の墓場はおいらが探すと投企するのなら、
TAKE THE EXISTENTIALISM!
自由の刑に処せられるしかない。そりゃ、滅茶オモロイ。
僕は、
TV時代劇「木枯し紋次郎」を鑑賞するたびに、
奮い立ち、慰められる。紋次郎こそ、実存だ。
キルケゴールいうところの単独者にほかならない。
孤独を癒してさすらう旅か
愛を求めてさまよう旅か
頼れるものは唯一つ、己の腕と腰のドス
あいつが木枯し紋次郎6月のCS時代劇専門チャンネルに、
僕の永遠のヒーロー、木枯し紋次郎が、
またまた帰って来る。うれしい。